CADオペレーターはきついからやめとくべき?将来性はある?

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  • 「CADオペレーターはやめとけって言われるけど本当?」
  • 「なぜCADオペレーターはやめとけと言われるの?」

このような疑問を持ったことはありませんか?

そこで本記事では、CADオペレーターならではの「やめとけ」と言われる理由を、調査結果や現役の声をもとに紹介します。

DAI
実際の体験談や、将来性、向いている人の特徴などもお話しします!
この記事を読んでわかること
  • CADオペレーターはやめとけと言われる9つの理由
  • CADオペレーターをやめたくなったときの対処法
  • CADオペレーターに向いている人、向いていない人
  • CADオペレーターの将来性とキャリアパス

CADオペレーターの実態が気になる人は、ご一読ください。

目次

CADオペレーターはやめとけと言われる9つの理由

デスクで頭を抱える女性

CADオペレーターはやめとけと言われる理由は、主に以下の9つが挙げられます。

  1. 残業が多い傾向にある
  2. 年収が低め
  3. 常に納期に追われるプレッシャー
  4. 身体への負担が大きい
  5. 継続的な勉強が必要
  6. 単調な作業の繰り返しになりがち
  7. 高い精度が求められるプレッシャー
  8. 設計者と現場の板挟みになりやすい
  9. 自由裁量が少ない

1. 残業が多い傾向にある

CADオペレーターの仕事は、製図を納期通りに納品することが非常に重要です。そのため、プロジェクトの進捗や案件が集中する時期によっては、残業が多く発生する傾向にあります。特に、完璧な図面を目指すあまり、予定時間を超えて作業してしまうことも少なくありません。

2. 年収が低め

CADオペレーターの平均年収は、日本の平均年収と比較すると低い傾向にあります。2024年のデータでは約422万円という調査結果もありますが、全体の給与幅は272万円から679万円と広く、勤務先やスキルによって大きく変動するのが実情です。

3. 常に納期に追われるプレッシャー

各案件にはそれぞれ納期が設定されており、複数のプロジェクトを同時に担当することも珍しくありません。特に繁忙期には、厳しいスケジュールの中で高い品質を維持する必要があり、常に納期に追われるという精神的なプレッシャーを感じやすい仕事です。

4. 身体への負担が大きい

一日中デスクに座り、PC画面を見続ける作業は、目や肩、腰に大きな負担をかけます。いわゆるVDT症候群(Visual Display Terminal Syndrome)になるリスクがあり、実際に多くのオペレーターが眼精疲労や慢性的な肩こり・腰痛に悩まされています。

5. 継続的な勉強が必要

CADの技術は日々進化しており、使用するソフトウェアも頻繁にアップデートされます。新しい機能やツールを使いこなすためには、実務と並行して常に学び続ける姿勢が不可欠です。また、建築や機械など、担当する分野の専門知識を深めることも求められます。

6. 単調な作業の繰り返しになりがち

特にキャリアの初期段階では、設計者の指示に従って図面の修正やトレース作業を繰り返すことが多くなります。創造性を発揮する場面が少なく、単調な作業にやりがいを感じられない人もいるでしょう。

7. 高い精度が求められるプレッシャー

CADで作成する図面は、製造や建築の現場で実際に使われるものです。ミリ単位のズレや寸法の入力ミスが、後工程で大きな問題を引き起こす可能性があるため、常に高い精度と集中力が求められ、ミスが許されないというプレッシャーは非常に大きいです。

8. 設計者と現場の板挟みになりやすい

設計者の指示で図面を作成し、その図面を基に現場が作業を進めます。もし図面に不備があった場合、設計者と現場の間に立たされ、双方から意見を言われることがあります。時には、設計側の不手際が原因であっても、オペレーターが矢面に立たされる理不尽なケースも存在します。

9. 自由裁量が少ない

CADオペレーターは、基本的に設計者の指示に基づいて作図を行う技術職です。そのため、自分の判断で設計を変更したり、スケジュールを自由に調整したりする裁量はほとんどありません。指示待ちの姿勢が求められる場面が多く、主体的に仕事を進めたい人には窮屈に感じられるかもしれません。

「CADオペレーターはやめとけ」という体験談

悩んでいる男性

「CADオペレーターはやめとけ」と言いたくなる実際の体験談を紹介します。

仕様変更で一から作り直しに…

CADオペレーターの仕事では、クライアントの要望による急な仕様変更は日常茶飯事です。一度は完成して納品したにもかかわらず、「やっぱりこうしてほしい」という一言で、すべてを一から作り直すことになるケースも少なくありません。こうした手戻りは、モチベーションの低下や長時間残業に直結します。

「一度CADで作図して納品し、お客様からOKをもらった後に、全く違う図面にして欲しいと言われ一から作り直したことがあります」

また、Yahoo!知恵袋では、「転職してうつ病になってしまった」という深刻な声や、「楽な仕事に見えるけど、実際は現場経験や製品知識が必要で大変」といった意見も見られました。

CADオペレーターをやめたいと感じたときの対処法

解決策を考える人

CADオペレーターの仕事を苦痛に感じたときは、以下の対処法があります。

  • 将来性のあるスキルを習得する
  • 違う業界や職場の人に相談する
  • CADオペレーターの経験を活かしてキャリアチェンジを検討する
  • 無理な要求は上司や関係者に相談する

将来性のあるスキルを習得する

現在の仕事に閉塞感を感じるなら、市場価値を高めるためのスキルアップが有効です。特に、従来の2D CADだけでなく、BIMや3D CADのスキルを習得すると、対応できる業務の幅が広がり、より高い年収を目指せます。また、「建築CAD検定」や「CAD利用技術者試験」などの資格取得を目標にすることで、学習のモチベーションを維持しやすくなります。

違う業界や職場の人に相談する

同じ悩みを抱えているのは自分だけではないかもしれません。社外のイベントやSNSなどを通じて、他のCADオペレーターと交流することで、新たな視点や解決のヒントが得られることがあります。客観的なアドバイスが欲しい場合は、キャリアコンサルタントに相談するのも良いでしょう。

CADオペレーターの経験を活かしてキャリアチェンジを検討する

CADオペレーターの経験は、様々な分野で活かすことができます。例えば、実務経験を積みながら建築士などの資格を取得し、設計者を目指すキャリアパスがあります。他にも、BIMコンサルタントや、CADソフトの講師など、専門知識を活かせる道は多岐にわたります。

無理な要求は上司や関係者に相談する

厳しい納期や度重なる仕様変更など、一人で抱えきれない問題は、勇気を出して上司や関係者に相談しましょう。無理な要求を受け入れ続けることは、心身の健康を損なうだけでなく、成果物の品質低下にも繋がります。状況を共有し、現実的なスケジュールや工数について調整を求めることが重要です。

CADオペレーターのメリット

メリットを説明する

「やめとけ」と言われる一方で、CADオペレーターには多くのメリットややりがいがあります。

  • 「ものづくり」に直接関われる達成感
  • 専門スキル(手に職)が身につく
  • 多様な業界で需要があり、キャリアパスも豊富
  • 未経験からでも挑戦しやすい

「ものづくり」に直接関われる達成感

自分が作成した図面が、実際に建物や製品という形になるプロセスに携われるのは、CADオペレーターならではの大きなやりがいです。複雑な図面を完成させた時や、チームでプロジェクトを成功させた時の達成感は、何物にも代えがたいでしょう。

専門スキル(手に職)が身につく

CADの操作スキルは、一度身につければ様々な場面で活用できる専門的な技術です。この「手に職」があるという事実は、キャリアにおける大きな強みとなり、転職や再就職の際にも有利に働きます。

多様な業界で需要があり、キャリアパスも豊富

CADオペレーターは、建築、機械、土木、電気、インテリアなど、非常に幅広い業界で求められています。一つの業界で経験を積んだ後、別の分野にチャレンジすることも可能です。前述の通り、設計者やBIMコンサルタントなど、多様なキャリアアップの道が開かれています。

未経験からでも挑戦しやすい

専門職でありながら、未経験者を歓迎する求人が比較的多いのも特徴です。企業によっては研修制度が充実しており、実務を通してスキルを習得できます。実際に、異業種から転職して活躍している人も少なくありません。

CADオペレーターに向いている人

PC作業に集中する人

以下のような特徴を持つ人は、CADオペレーターに向いていると言えるでしょう。

  • ものづくりやデザインが好きな人:図面を通して製品や建物の完成をイメージできる人。
  • 集中力と忍耐力がある人:長時間にわたる細かい作業を苦にせず、コツコツと続けられる人。
  • 細部への注意力がある人:ミリ単位のズレも見逃さない、高い精度を保てる人。
  • 学習意欲が高い人:新しい技術やソフトウェアの習得に前向きに取り組める人。
  • コミュニケーション能力がある人:設計者や他部署の担当者と円滑に連携できる人。

CADオペレーターに向いていない人

一人で悩む人

一方で、以下に当てはまる人は、CADオペレーターの仕事に苦痛を感じるかもしれません。

  • 単調な作業が苦手な人:創造性や変化に富んだ仕事をしたい人。
  • 大雑把な性格の人:細かい部分にこだわらず、ざっくりと物事を進めたい人。
  • 長時間のデスクワークが苦手な人:体を動かす仕事がしたい人。
  • コミュニケーションが苦手な人:一人で黙々と作業したい人。
  • 学習意欲が低い人:新しいことを学ぶのが億劫な人。

CADオペレーターになるための勉強法

勉強している様子

未経験からCADオペレーターを目指す場合、まずは基本的なスキルを習得する必要があります。

1. CADソフトの基礎を学ぶ

書籍やオンラインスクール、動画教材などを利用して、主要なCADソフトの操作方法を学びましょう。業界によって使われるソフトは異なりますが、まずは汎用性の高いAutoCADや、無料で使えるJw_cadから始めるのがおすすめです。

2. ポートフォリオ(作品集)を作成する

学習したスキルを証明するために、簡単な図面などのポートフォリオを作成しましょう。架空の課題でも構いません。自分の実力を示す具体的な成果物があることは、就職・転職活動において大きなアピールポイントになります。

3. 未経験OKの企業で実務経験を積む

最も効果的な学習は、実務経験を積むことです。研修制度が整っている未経験者歓迎の企業に入社し、2〜3年経験を積むことで、プロとして通用するスキルが身につきます。派遣社員として様々な職場で経験を積むのも良い選択肢です。

【年代・状況別】「CADオペレーターはやめとけ」は本当?

「やめとけ」という言葉は、個人の状況によって大きく意味合いが変わります。ここでは、年代や経験状況別に、その言葉のリアルな受け止め方と乗り越え方を解説します。

20代・未経験者の場合

「やめとけ」の側面:覚えることが多く、給与も低いスタートになりがち。単調な修正作業ばかりで、やりがいを感じにくいかもしれません。
乗り越え方:まずは2D CADの基本操作を確実に習得することが最優先です。研修制度の整った企業を選び、3年後のキャリアを見据えて専門知識を学ぶ姿勢が重要になります。未経験からでも挑戦できる求人が多いのは20代の特権です。

30代・経験者の場合

「やめとけ」の側面:年収が上がりにくく、キャリアの停滞を感じやすい時期。後輩の指導やマネジメント業務が増え、作図に集中できないストレスを感じることも。

乗り越え方:3D CADやBIMといった付加価値の高いスキルを習得し、専門性を高めるのが得策です。また、マネジメント経験を積んで設計者やチームリーダーへのキャリアアップを目指したり、より待遇の良い業界(例:建築からプラントへ)への転職も視野に入れましょう。

40代以降・経験者の場合

「やめとけ」の側面:最新技術への追従が体力的に厳しくなることや、若手との給与差に悩むことがあります。AIによる代替への不安も現実味を帯びてきます。
乗り越え方:長年の経験で培った業界知識や問題解決能力は大きな武器です。AIを使いこなす側に回ったり、若手の育成や品質管理など、経験を活かせるポジションへのシフトが有効です。フリーランスとして独立し、自身のペースで働くという選択肢もあります。

高収入CADオペレーターと低収入オペレーターの5つの違い

同じCADオペレーターでも、年収には大きな差が生まれます。その違いはどこにあるのでしょうか。高収入を目指すためのポイントを5つ紹介します。

要素 低収入オペレーター(年収300万円台) 高収入オペレーター(年収600万円以上)
1. 使用スキル 2D CADのみ(修正・トレースが中心) 3D CAD / BIMを駆使し、設計補助や干渉チェックまで行う
2. 専門知識 業界の基本的な知識のみ 建築法規や構造計算など、設計者に近い専門知識を持つ
3. 業界 給与水準が比較的低い建築・インテリア業界など 給与水準が高いプラント、エネルギー、航空宇宙業界など
4. 役割・ポジション 指示通りの作図を行うオペレーター 設計者、BIMコーディネーター、チームリーダーなど、上流工程や管理を担う
5. 雇用形態 中小企業の正社員や派遣社員 大手企業の正社員、または高単価なフリーランス

「CADオペレーターはやめとけ」と言われることがあるものの、やりがいのある職業

CADオペレーターは、残業の多さや身体的負担、継続的な学習の必要性などから「やめとけ」と言われることがあります。

しかし、ものづくりの根幹に関われる達成感や、専門スキルが身につくといった大きなメリットもある仕事です。

本記事で紹介した「やめとけ」と言われる理由や対処法を参考に、ご自身がCADオペレーターに向いているかどうか、じっくり考えてみてください。

CADオペレーターに関するよくある質問

質問

CADオペレーターについてのよく聞かれる質問へ回答します。

AIの発展によって、将来仕事はなくなりますか?

野村総合研究所のレポートで「AIに代替される可能性が高い職業」として挙げられたことから、将来性を不安視する声があります。確かに、図面のトレースや修正といった単純作業はAIに代替される可能性が高いでしょう。しかし、複雑な設計の意図を汲み取ったり、新しい構成を考えたりする業務は、依然として人間のスキルが必要です。今後は、AIを使いこなす能力を持ったオペレーターの需要が高まると予想されています。

野村総合研究所 日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に

どんなスキルがあれば有利になりますか?

基本的な2D CADのスキルに加えて、3D CADやBIMのスキルがあると市場価値が大きく高まります。また、建築、機械、土木など、特定の分野に関する深い専門知識も強力な武器になります。コミュニケーション能力や、設計者の意図を正確に理解する読解力も同様に重要です。